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About me

久乃 桐花
明治大学文学部フランス文学専攻、卒業。
2014年にルクセンブルクへ移住。
欧州でフリーランスのイラストレーター、プロジェクト用漫画制作の活動を行う。
2023年からの三年半はルクセンブルグの金融会社の投資運用部門に勤務。
2026年、親の介護のため帰国。クリエイティブ活動を再開した。
KUNO Kirika
欧州の思ひ出コラム
2014年から2026年までの12年間、私はヨーロッパの空の下で暮らしていました。楽しかったり、滑稽だったり、悲しかったり、憤慨したりした出来事の数々・・・。


なぜルクセンブルクへ行ったの?
「なぜルクセンブルクへ行ったの?」 これは一番よく尋ねられる質問で、私はそれに対して特に面白い回答をすることはできません。私がルクセンブルクに行くことになったのは当時の夫の転勤のためでした。 ただその夫とはルクセンブルクへ来て数か月で別れることとなってしまいました。彼は日本語が堪能なフランス人で、私はついつい現地での手続きやコミュニケーションを彼まかせにしていました。そんな矢先に彼と別れることになってしまい一人で生きていくしかなくなりました。悲しかったり、怖かったりいろんな感情におそわれるなかで、もう失うものはないという気持ちになんとか落ち着けました。そして私は帰国を選ばずルクセンブルクに一人とどまることにしたのでした。 私は友達も知人もいない土地で、フランス語もカタコトのなか、フリーランスのイラストレーターになるための手続きを調べはじめました。そうしたなかで私を助けてくれたのは偶然出会った人たちです。 ありがた迷惑 という概念がない事が助けとなっている。 「何かあったらいつでも言ってね」「なにか手伝えることある?」 なんてほとんどの人が言い
Kirika Kuno


病んでなお多言語
ルクセンブルクは金融の国として知られています。そのため投資などで大損失を出す人もいるし、仕事においては法律でがんじがらめな中、複雑だけれど独自性のない作業を長時間強いられます。そして、冬はいつも曇り空! というわけで心を病む人が多く、自殺者が多いと言われてきました。私がルクセンブルグに行った当初、国のシンボル的存在のアドルフ橋は大規模改修工事中だったのですが、それは飛び降り自殺防止のための工事も兼ねていたといわれていました。 さて、ある日バスに乗りました。するとずっと独り言を言っている青白い顔をした青年がいたのです。私はわぁ、どこの国の乗り物でも、心を病んでしまう人がいるんだなぁと思いました。そして昔よく乗っていた京成線を思い出してしみじみとしました。ただよく耳を澄ますと、彼はルクセンブルグ語、フランス語、ドイツ語、時々英語でずっと何かをつぶやいていたのです。これは京成線とは違うな、と思ったのでした。 ルクセンブルグ駅前通りのトラム。ルクセンブルグの公共交通機関はすべて無料。
Kirika Kuno


エリートほど英語しかできない。
実はホワイトカラーの職ほど、英語さえできれば働けることが多いです。たとえば金融業界ではルクセンブルグの公用語であるフランス語やドイツ語ができなくとも、英語ができれば働けてしまいます。一方で接客業やブルーカラーの人ほどいろんな移民の人々を相手に仕事をするため多言語を使いこなすことが多いです。 例えばドイツのSaarbrückenという町に行った時のことです。そこには大きなスーパーがあって、周辺国より物価が安いので週末お客がベルギー、フランス、ルクセンブルグなどからおしよせます。私もその一人でした。お手洗いにいくと、なんと改札があります。お金を入れてチケットを取らないとトイレの改札をくぐれません。ただこのマシーンが複雑でどこにお金をいれるのか、どっからチケットをとるのか、どうバリアを開けるのかよくわかりません。一度入ったあと出るのもまた難しい。そのためあちこちの国からきたお客はみんな立ち往生してああでもない、こうでもないといろんな言語で言い合っていました。そこへ清掃員のおじいちゃんがモップを片手にやってきて、それぞれの人に合わせてドイツ語、フラ
Kirika Kuno


多言語国家の実情。
ルクセンブルグの公用語はルクセンブルグ語、フランス語、ドイツ語です。さらに両親がポルトガルやイタリアからの移民だと5か国語以上話せる人がごろごろいます。さらに英語も話せるのはほぼ当たり前のことです。 ほかにも多言語国家はたくさんありますね。例えばスイス、ベルギー、イタリア。ただそういった国では地域によって話される言語がことなり、国民全員がすべての言語を使えるわけではありません。ルクセンブルグのすごいところは、ルクセンブルグ語、フランス語、ドイツ語が義務教育なので、国民は皆この三か国語をマスターしているということです。ただ学校を卒業した後の人生でルクセンブルグ語ばかり話しているとフランス語を忘れてしまうというような人もわりといます。またフランス人のようにフランス語を、ドイツ人のようにドイツ語を使いこなせる人も極めて少ないのです。さらにルクセンブルグ語自体も長らく書き方の授業がなく、多くの人は正しい文法やスペリングを知らずに話し言葉として使ってきました。そのためチャットなどではおのおの好き勝手なスペリングで書いているのです。つまり一つの言語も日本人
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